仕事と介護の両立を考える 〜「いい加減」の大切さ〜
公益財団法人 生命保険文化センターの最新の調査によると、介護期間の平均は4年11ヶ月、約5年にわたります。しかし、介護期間が10年以上というケースも全体の約16%ありました。まさに、介護は「突然やって来るもの」であるだけでなく、「いつまで続くか分からないもの」でもあります。

この「いつまで続くか分からない」という状況は、時に介護者の心身の健康状態に大きく影響を及ぼします。
親の介護を例に取れば、介護のスタートではこれまで育ててくれたことに感謝し、今度は自分が出来る限りのことをしてあげたい、と考えて介護に取り組む方も多いでしょう。ところが、長い間介護をひとりで抱え込みすぎると、先が見えない状態に、精神的にも、肉体的にも疲弊してしまうケースが少なくありません。その結果が時として悲しい結末を生んでしまうということを、私たちは報道などを通じて目にすることもあります。
大切なことは、ひとりで介護を抱え込まず、また介護を深刻に考えすぎず、定期的に介護保険サービスなどを使って自分が介護から離れるための時間を作る、自身の趣味などを楽しむ、といったリフレッシュの時間を作ることです。介護者の生活や健康が安定していて初めて介護ができるのです。

また、会社でよく使われるPDCAの考え方を家族の介護に用いる方がいます。特に男性の方に見られる傾向ですが、「頑張って杖なしで歩けるようになろう」 → 「そのためにはこういったリハビリをこれだけしよう」 → 「全く状態がよくならない」 → 「もっとリハビリの回数を増やそう」。やがて「ここではダメだから別のリハビリ施設に替えよう」と理詰めで物事を考えてしまう。高齢で介護が必要な状況であれば心身の状況も日々変わります。体調が思わしくなく、今日は休みたい、今日は体が思うように動かない、という場合もあるでしょう。相手を思ってのことだというのは良くわかるのですが、一方的に目標を決められ、その達成を求められるという状況は、介護されるご本人にとってはとても辛いと思います。

家族の介護を続けていく上で大切なことは、介護を深刻に捉えすぎない、いい意味での「いい加減さ」なのではないでしょうか。
(2016.6.5)