施設(有料老人ホーム)での看取り
ある日、当ホームのご入居者の息子様が、医師との面談を終えて、支配人である私のもとを訪ねてきました。「今、母親の余命が1カ月との宣告を受けました。不謹慎な話だと思うんだけど、もしもの時、家族はどうしたらいいの?」長男としてご葬儀のことをご心配されていたのです。

私は、ホームで亡くなった方々を一時ご安置する「静堂」と呼ばれる部屋にご案内しました。「この部屋はお母様が亡くなったときに、ご遺体を安置するための部屋です。お母様にはこの部屋で静かにおやすみいただき、ご家族はお母様に寄り添いながら、ゆっくりとご葬儀の相談をしていただけます。ですから、今は、どのように見送るかのご心配は無用です。」とご説明しました。そのままこの「静堂」でご葬儀を上げられるご遺族があることも伝えると、息子さんはホッと胸をなでおろすように、「それじゃあ何の心配もいらないね」と言って下さいました。

私は、息子さんに次のようなお願いをしました。「余命を宣告されて、今大切なことは『死』のさきにあることではありません。残された1ヶ月間をお母様が望むように生き抜けるよう支えることです。お母様自身はその時までに一体誰に会いたくて、どんな話をしたくて(聞きたくて)、そして『死』の瞬間に、誰に傍にいてほしいのか? そして、ご家族はその瞬間、何をしてあげたいかを考えることです。お母様の亡くなる瞬間から逆算して、残る1カ月、一体何をしてあげられるのかを考えましょう。」

これまでこのような場面は何度か経験したことがあります。ご家族によってさまざまですが、「看取りの瞬間を一人で迎えることのないように、私自身が手を握って、抱きしめて送ってあげたい。」、「父はたくさんの家族や友人に感謝の気持ちを伝えたいだろうから、いろいろなひとに会わせてあげたい」…。それぞれにその思いがわきあがってきます。

私たちは、最期のさいごまで、ご入居者やご家族に寄り添い、その「支え」となることの意味とその使命の重さを痛感しています。私はご家族に伝えています。「お母様(お父様)が生き抜く『支え』になるという大役を果たすご家族にこそ『支え』が必要でしょう。私たち専門職はその『支え』になるために側にいます。無理はせず助けを求めながら頑張って下さいね。」

当ホームでは、昨年度ご逝去された入居者のうち、病院ではなくホームで看取られた方が8割にのぼります。残念ながら病院で亡くなった方の多くも、「『ウチ』に帰らせてあげたい。」と、一旦はホームに戻ってきて下さいます。そして、7割以上の方々が、終の住処であるホーム内の「静堂」でご葬儀をあげ、お仲間である入居者やスタッフに見送られて旅立たれます。

これは、私たちスタッフにとって大変ありがたいことであり、何よりも励みになります。これからも、最期まで尊厳を持って安らかに旅立つことができるように、ご家族が心を込めて看取りができるように支援していきたいと思っています。

PR:ヒルデモア/ヒュッテは「本物の終の住処」を提供します。
(2017.7.31)
 

 

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